海外における肩こりの概念と日本との違い

海外における肩こりの概念と日本との違い

日本における肩こりの歴史

そもそも、肩コリは我々の遠い祖先が、それまでの狩猟採集の生活から、農耕の社会を築いた事に端を発しました。

それまで食料を求めて四六時中動き回っていた生活から、食糧の生産や、やがて備蓄が可能になり、身体を動かさないで過ごす時間が生まれた為と考えられています。

今や、我が国の国民病と言われる『肩コリ』は、いつ頃から認識されていたのでしょうか。

コリをほぐす方法として古来から行われていたのは「揉み療治」。

いわゆるマッサージですが、今からおよそ1300年前の奈良時代から「揉み療治」はすでに広まっていたと言われています。

 奈良時代の大宝律令を改訂して作られた「養老令」では、揉み療治である「按摩(あんま)」を学問の一つとして奨励していたようです。

さらに肩コリに効く治療法といえば、日本古来の入浴法「打たせ湯」が有りました。
高いところから温泉を肩にあてることで、コリをほぐす効果があったのです。
確かに、ポリモーダルに対する物理的刺激と熱刺激による大自然治療器。効果ありそうです。

肩がこる症状を『肩コリ』という固有名詞として広めたのは、明治時代の文豪、夏目漱石が明治42年(1910年)に発表した「門」という小説の中に、肩に対して“こる”という言葉が初めて使われています。

明治維新後、急速に西洋文化や近代化を取り入れ、作家という究極の頭脳労働者によって『肩コリ』という言葉が生まれた事はとても興味深い事です。

おそらく古代から、少なくとも1300年も昔から認識されていた症状ですが、固有名詞になったのは僅かに100年と少し前の事の様です。

アジア圏・欧米圏における肩こり

肩コリの認識は、お隣の中国や他のアジア圏ではどうでしょうか? 

肩コリという固有名詞は特に無いようですが、肩コリの症状を伝えると非常に合点がいくようで、十分に理解して貰えますし、症状としての自覚もしているようです。
体格的にも、 現代においては生活習慣も比較的近い日本人と大きな『違い』は無いように思われます。

では、欧米人はどうでしょう、「肩コリ」を英語に直訳すると

Stiff Shoulder(Stiff は硬い、Shoulderは肩)です。他にも英語で

Stiff Neck(Neck=首→首コリ) とか

Stiff Back(Back=背中→背中コリ)

等と言われているようです。

よく考えてみると、日本人だって首・肩から背中にかけてこっているのを「肩コリ」と総称していて、必ずしも肩(=腕の付け根部分)だけがこっていることを指している訳ではありません。

欧米人にも概念としては有るのですが、筆者が20年以上も前に米国における肩コリを考察した時に、米国では、国民病の日本ほど深刻ではなく、もしかしたら虚血性疲労と筋肉疲労が混同されているような印象すら有りましたが、どうやらStiff Neck(Neck=首→首コリ)が我々の『肩コリ』に一番近い症状の様です。

虚血性疲労のコリを前提に考えると、体格に於いて我々より大柄で筋肉量の多い欧米人にとって頭を支えることが、日本人より負担が少ないのではないかと思われます。

もう一つは椅子文化である欧米人と、畳や板の間に直に座る日本人との生活習慣の違いです。

日本人にとって「正座」であれ「あぐら」であれ、あるいは「体育座り」であっても長時間座っていると背中が丸く猫背になってきます。猫背は肩コリを誘発する大きな原因の一つです。

一方、欧米人は背もたれの有る椅子やソファーに上半身を委ねる事で、背筋を伸ばしたり、頭や上半身を支える疲労を回復できる生活をしています。

近年における肩こり

しかし、近年は欧米人にも肩であれ首であれ「コリ」への認識が急速に高まっています。

原因は肩コリ製造機『スマホ』の普及です。

スマホの登場により電話の機能のみならず、パソコンやインターネットのツールとして、そしてゲーム機として長時間使われる為です。

スマホをしている時の姿勢は万国共通の様です。

大柄の欧米人が片手でスマホを握り、もう片方の手の指先で操作し、猫背になって画面を見つめているという肩コリには最悪ともいえる姿勢です。

海外における肩コリの概念と日本との『違い』は急速に無くなって来ているのではないでしょうか

我が国においては、効果の程は別として、最近の各種ビタミン剤や昔ながらの湿布材、諸々の肩コリグッズ、コンビニの店舗数より多い治療院、さらにクイックマッサージの出現等々・・・既に我が国には年間数千億円規模の肩コリ市場が形成されています。

この前テレビを見ていたら、アフリカでも、アラスカの先住民もスマホを使っていました。いよいよ肩コリが『人類病』になる日が来るのでしょうか・・・。

肩コリ先進国の我が国としては何とかしなくてはなりません。

事実、日本人が大勢出入りする中国や韓国、そして香港。
それにハワイにおいて、磁石を張り付けるというおかしな風習が蔓延り始めているようです。

これは『違い』どころか『間違い』です。まず、ここから何とかせねばですね。

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